ものづくりの街、岡崎には、
いにしえの時代から現代まで
紡がれてきた歴史や伝統を
守り続ける人々がいます。
もしかしたら、旅で出会えるかもしれない
街の人たちをご紹介。



【カクキュー八丁味噌
 早川ちかこさん
 初代から味噌づくり一筋、現当主は十九代目の「カクキュー八丁味噌」。実は、「カクキュー八丁味噌」では、その早川家の一族に会うことができます。八丁味噌のことならなんでも知っているという、自他共に認める”味噌女”早川さんは、ガイドとして八丁味噌の素晴らしさを今世に伝えています。 お話を聞くと、実は早川家に嫁いできたという彼女。社長に直談判するような形で入社したという経緯もあるくらい学生の頃からカクキューの大ファンだったそうです。
 「八丁味噌の味はもちろん、370年以上受け継がれた伝統製法、歴史、初めて蔵に入って見た木桶の神秘的な迫力、感動は今でも忘れられません。自分自身も大ファンであるカクキューや八丁味噌の魅力をもっと知ってほしいと日々広報活動をしています。」ツアーでの担当は、味噌蔵案内やみそまるづくりのレクチャーなど。その丁寧さから、八丁味噌に対する愛が感じられます。(※「みそまる体験」は当ツアーの特別企画で、常時行っている体験プログラムではありません)
 そんな早川さんが最もお勧めする味噌料理は、「早川家の煮味噌」。ホタテの貝殻を鍋にしてお湯をわかし、かつお節、砂糖を入れ、たっぷりの八丁味噌を加えて溶かし、最後に卵をおとしてねぎを適量振りかけます。これは代々早川家に伝わる料理方法だそう。あつあつのご飯にかけて食べると、ごはんが止まらなくなるおいしさなんだとか。 お味噌は、料理のわき役になることが多いお味噌ですが、この料理は八丁味噌が主役。 ホタテの貝殻がない時は、浅い鍋でも調理できますのでぜひ!
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【まるや八丁味噌
 社長・浅井 信太郎さん
 685年もの歴史ある八丁味噌蔵まるやさん。絵本の世界から飛び出してきたようなユニークな雰囲気と、あたたかいお人柄を併せ持つ社長の浅井さんは、八丁味噌を愛してやみません。味噌蔵での撮影時、「桶の間に立っていただき、何か一言お願いします」とお願いすると、浅井さんは迷わず大きな声で「ここは天国だ〜!私は幸せだ〜!」とにこにこ笑顔を向けて下さいました。代々受け継いだ菌を財産と考え、味噌づくりの環境そのものを昔と変わらないものに保つことを日々とても大切に考えておられる素敵な社長でした。社長おすすめの、味噌を粉末にした味噌パウダーとバニラアイスクリームの相性は抜群!



【磯部ろうそく店】
 九代目店主・磯部亮次さん、女将さん  
 思わず「親方!」と声をかけたくなるような、男気の滲み出る職人姿の店主と、お店にいるだけでその場が和むような柔らかい雰囲気の女将さんという素敵なご夫婦でいとなまれるろうそく店。ご夫妻とも、撮影時はとても親切に協力いただきました。磯部ろうそく店は、とてもモダンな外観。店舗を入るとガラス張りの工房がすぐ目に入り、店主の作業姿を見ることができます。そのすぐ隣にはショップがあり、お土産物も豊富。さらに、階下はギャラリーになっており、展示やワークショップなど、和蝋燭の灯火を通して人が集い合う場づくりを行なっています。  そんなモダンな磯部ろうそく店ですが、実は300年も続く和蝋燭の老舗。2011年に漏電による火災で全焼し、先祖代々受け継いだ工房も道具も全てなくなってしまったのだそうです。再建を断念しかけたこともありましたが、全国からの励ましや、地域の人々、職人仲間たちからたくさんの支えを受けて翌年には再建を果たし、今に続いています。お二人が地域に必要とされ愛される存在であることが伝わってきます。取材の日は、階下のギャラリーで女将さんが和蝋燭に火を灯し、その楽しみ方や、ここを訪れる様々な人のストーリーを聞かせてくださいました。全て自然のものから手作業で生み出され、最後は跡形もなく消えてゆく和蝋燭の潔い美しさは、多くの人の暮らしを支えてきただけでなく、人と人を繋いだり、ある時は人を癒したりしてきたということが垣間見られた素敵なひとときでした。



【松井本和蝋燭工房】
 三代目・松井規有(のりあき)さん、
 四代目・深恵(みえ)さん
 大通りから一本入った静かな住宅街の中にある小さな工房。扉を開けて一歩中に入れば、そこはタイムスリップしたかのような趣のある空間。一つ一つのものに年季が感じられます。創業明治40年。現在お店をいとなむのは、三代目の規有(のりあき)さんと、四代目の深恵(みえ)さん。言葉少なげに黙々と作業するお二人の鮮やかな手つきを見つめていると、つくられる蝋燭の方も意志を持って育っていくかのように生き生きと見えてきます。「ここでは捨てるものは一つもないんですよ」。ハゼの実を絞って作られる蝋、手すきの和紙に藺草(いぐさ)の髄(ずい)と真綿を巻きつけてできる芯、全てが天然素材で、全工程が手づくりであることを丁寧に教えてくださいました。七輪や蝋鉢など、工房内の道具の多くは特注の伝統工芸品。また、蝋燭への絵付けを担当するデザイナーの美尋(ひひろ)さんは、以前はアクセサリーデザイナーだったとか。美尋さんにより絵付けされた和蝋燭は、2016年の伊勢志摩サミットの際、各国首脳への贈答品にも起用されました。松井本和蝋燭工房では、伝統製法を次世代に正しく伝えるために、製造所無料見学・絵付け体験・灯火体験を行っています。「伝統の本和ろうそくと岡崎手描き絵ろうそくの発展に注力していきたい」と意気込むお二人。新旧が融合した技術の結晶が生み出され続ける工房でした。



菅生神社】
 宮司・児玉隆司さん
 巫女さん・志保さん
 今回の菅生神社での「お守りづくり体験」に、全面的にご協力くださった宮司の児玉さん(写真・上)。何度かにわたった体験内容のお打ち合わせでは、清め祓いの儀式への立ち合いなど、さまざまなアイデアを提供してくださったり、「笙(しょう)」という雅楽器を披露してくださったり、すっかり楽しませていただきました。普段から神社の管理に携わられている奥様とお嬢様からも、神社にまつわる様々なお話をお聞きし、火災や空襲などからも損傷を免れてきた菅生神社の長い歴史にふれることができました。
 また、お守りづくり体験の撮影にご協力いただいた、巫女さんの志保さん(写真・下)は、生まれながらの巫女さんかと思うほど、巫女さんらしく上品な雰囲気をまとい、お淑やかにお守りづくりを伝授してくれました。撮影チームが何十分もかかって完成させた一個のお守りは、志保さんのあざやかな手つきにかかればたった5分ほどで可愛らしい形に。
 菅生神社が、たくさんの素敵な人たちに守られ、風通しの良い健やかな場が保たれているのだということを感じることができました。



【ビストロ・アンソン】
 シェフ・古山潤一さん
 今回の特性ディナーコースを提供いただくのは、シェフの古山さん。「本格フレンチをカジュアルに」楽しめる、ビストロアンソンのオーナーです。地元三河産の新鮮食材にこだわり、おいしく美しく、満足感のあるお食事を追求してきました。夜はもちろんのこと、ランチコースはお客様へのサービス精神があふれる大満足のボリューム。三河豚など食材の新鮮さがひと口で感じられるおいしさです。今回は、地酒や八丁味噌とのコラボメニューのご相談にも、快くのっていただきました。舌にも目にもお腹にも嬉しいカジュアルな本格フレンチをお楽しみに。



【岡崎歴史かたり人】
 近藤さんと小辻さん
 1日目のツアーでガイドを担当してくださる、ユニークなお二方です。近藤浩二さん(写真・上)は、生まれも育ちも岡崎。商人の街岡崎ご出身らしい朗らかな語り口で「岡崎歴史かたり人」として観光に携わられています。お寺に入れば、副住職と歴史談義を始めてしまうほど。  小辻裕子さん(写真・下)は、自他共に認める筋金入りの”歴女”。徳川家康公の出身地というだけではない、岡崎の様々な歴史やストーリーをガイドしてくださいます。特に得意な分野は狛犬で、菅生神社の狛犬の希少さを教えてくださいました。いつもガイドをする時に被る兜がトレードマークです。